昼休み。
チャイムが鳴ると、私と翔はいつものように教室を出た。
向かったのは、屋上。
扉を開けると、秋の風がふわっと頬を撫でた。
夏の暑さが少しずつ遠ざかって、空気が心地いい。
二人で並んでベンチに座り、お弁当を広げる。
「いただきます」
「いただきます」
他愛のない話をしながら、お弁当を食べる。
翔のお弁当を覗き込んだり、私のおかずを見て笑ったり。
そんな時間が、私は好きだった。
「おいしかったぁ」
お弁当を食べ終えて、私は満足そうに息を吐いた。
「俺も。…午後も授業か……」
翔が空を見上げる。
「うん……」
私もつられて空を見る。
雲がゆっくり流れている。
なんだか、眠くなってきた。
ふわぁ……。
小さくあくびが出る。
「眠い?」
「昨日、遅くまで勉強してたから……」
「無理すんなよ」
「うん……」
少しだけ迷ってから、私は翔の肩を見る。
「ちょっとだけ休憩しよ」
「ん?」
私は翔の肩に、そっと寄りかかった。
「……ちょっとだけね」
「うん」
翔の声が、すぐ近くから聞こえる。
その声を聞いていると、不思議と安心する。
私は目を閉じた。
ほんの少しだけ。
そう思っていたのに――
あっという間に、眠りに落ちていた。
翔は、しばらく何も言わなかった。
肩に伝わる瑠夏の重み。
規則正しい寝息。
いつもは笑っている顔。
でも今は、安心しきったように眠っている。
翔は横目で瑠夏を見つめる。
「……頑張りすぎなんだよ」
小さく呟いた。
起こさないように、そっと肩に手を回す。
そして――
そっと唇を重ねる。
ほんの一瞬。
触れるだけのキス。
離れた翔は、少し照れたように笑った。
「……おやすみ、瑠夏」
もちろん、その声は瑠夏には届かない。
翔はそのまま、肩を貸し続けた。
眠っている瑠夏を起こすことなく。
ただ、隣にいる。
やがて――
午後の授業を知らせるチャイムが、屋上まで響いてきた。
「……瑠夏、起きて」
「ん……?」
眠そうに目を開ける。
「授業始まるぞ」
「……寝ちゃった?」
「うん」
「ごめん……」
「いいよ」
私は慌てて身体を起こした。
「肩、痛くない?」
翔は笑った。
「全然」
そう言いながら、心の中で思う。
――むしろ、ずっとこうしてたい。
「ほら、行くぞ」
「うん」
二人で立ち上がる。
教室へ戻るために歩き出す。
その距離は、いつもより少しだけ近かった。
チャイムが鳴ると、私と翔はいつものように教室を出た。
向かったのは、屋上。
扉を開けると、秋の風がふわっと頬を撫でた。
夏の暑さが少しずつ遠ざかって、空気が心地いい。
二人で並んでベンチに座り、お弁当を広げる。
「いただきます」
「いただきます」
他愛のない話をしながら、お弁当を食べる。
翔のお弁当を覗き込んだり、私のおかずを見て笑ったり。
そんな時間が、私は好きだった。
「おいしかったぁ」
お弁当を食べ終えて、私は満足そうに息を吐いた。
「俺も。…午後も授業か……」
翔が空を見上げる。
「うん……」
私もつられて空を見る。
雲がゆっくり流れている。
なんだか、眠くなってきた。
ふわぁ……。
小さくあくびが出る。
「眠い?」
「昨日、遅くまで勉強してたから……」
「無理すんなよ」
「うん……」
少しだけ迷ってから、私は翔の肩を見る。
「ちょっとだけ休憩しよ」
「ん?」
私は翔の肩に、そっと寄りかかった。
「……ちょっとだけね」
「うん」
翔の声が、すぐ近くから聞こえる。
その声を聞いていると、不思議と安心する。
私は目を閉じた。
ほんの少しだけ。
そう思っていたのに――
あっという間に、眠りに落ちていた。
翔は、しばらく何も言わなかった。
肩に伝わる瑠夏の重み。
規則正しい寝息。
いつもは笑っている顔。
でも今は、安心しきったように眠っている。
翔は横目で瑠夏を見つめる。
「……頑張りすぎなんだよ」
小さく呟いた。
起こさないように、そっと肩に手を回す。
そして――
そっと唇を重ねる。
ほんの一瞬。
触れるだけのキス。
離れた翔は、少し照れたように笑った。
「……おやすみ、瑠夏」
もちろん、その声は瑠夏には届かない。
翔はそのまま、肩を貸し続けた。
眠っている瑠夏を起こすことなく。
ただ、隣にいる。
やがて――
午後の授業を知らせるチャイムが、屋上まで響いてきた。
「……瑠夏、起きて」
「ん……?」
眠そうに目を開ける。
「授業始まるぞ」
「……寝ちゃった?」
「うん」
「ごめん……」
「いいよ」
私は慌てて身体を起こした。
「肩、痛くない?」
翔は笑った。
「全然」
そう言いながら、心の中で思う。
――むしろ、ずっとこうしてたい。
「ほら、行くぞ」
「うん」
二人で立ち上がる。
教室へ戻るために歩き出す。
その距離は、いつもより少しだけ近かった。



