夏が終わり、少しずつ秋の気配が感じられるようになった。
放課後の教室。
窓の外は、もう夏の頃とは違う色をしている。
私と翔は、机を並べて勉強していた。
机の上には参考書とノート。
高校生活も、残り少なくなってきた。
翔がスマホを手に取った。
「俺さ、スポーツトレーナーになろうと思ってる」
私は翔を見る。
「……うん」
翔がスマホの画面を私に見せた。
そこには、大学の情報が表示されていた。
「だから、ここの大学のスポーツ健康科を目指す」
「翔、ちゃんと決めたんだね」
「うん」
翔は少し照れたように笑った。
「怪我したとき、いろいろ考えたんだ。リハビリしてるときとかさ」
翔は画面を見つめながら続ける。
「今度は俺が、怪我した人を支えられる側になりたい」
その言葉を聞いて、胸が温かくなった。
翔らしいと思った。
「翔なら、なれるよ」
「ありがと」
翔が笑う。
そして、ふと私を見る。
「瑠夏は?」
「……私?」
「うん。進路」
私は少し黙った。
「大学には行こうと思ってる。でも……その先が、まだ決まってなくて」
「そっか」
翔は、それ以上聞かなかった。
「焦らなくていいんじゃない?」
私は小さく頷いた。
でも、胸の奥では、ずっと考えていた。
――私のやりたいことって、何だろう。
大学に行く。
新体操は、高校で一区切り。
その先で、私は何をしたいんだろう。
その日の帰り道。
ふと、スマホを見る。
スマホカバーに挟んである、一枚の名刺。
あの日、インターハイで渡された名刺だった。
『モデルに興味はありませんか?』
あの言葉が、もう一度蘇る。
家に帰ると、両親にも話した。
「瑠夏がやってみたいなら、やってみたら?」
反対されているわけじゃない。
むしろ、背中を押してくれている。
だからこそ、迷った。
本当に、私がやりたいことなの?
それとも――
誰かに見つけてもらえたことが嬉しくて、気になっているだけなの?
名刺を指先でなぞりながら、私は考え続けた。
翔はもう、自分の進む道を見つけている。
私はまだ、その途中にいる。
同じ青春を走ってきたはずなのに。
少しずつ、私たちの未来は違う方向を向き始めていた。
放課後の教室。
窓の外は、もう夏の頃とは違う色をしている。
私と翔は、机を並べて勉強していた。
机の上には参考書とノート。
高校生活も、残り少なくなってきた。
翔がスマホを手に取った。
「俺さ、スポーツトレーナーになろうと思ってる」
私は翔を見る。
「……うん」
翔がスマホの画面を私に見せた。
そこには、大学の情報が表示されていた。
「だから、ここの大学のスポーツ健康科を目指す」
「翔、ちゃんと決めたんだね」
「うん」
翔は少し照れたように笑った。
「怪我したとき、いろいろ考えたんだ。リハビリしてるときとかさ」
翔は画面を見つめながら続ける。
「今度は俺が、怪我した人を支えられる側になりたい」
その言葉を聞いて、胸が温かくなった。
翔らしいと思った。
「翔なら、なれるよ」
「ありがと」
翔が笑う。
そして、ふと私を見る。
「瑠夏は?」
「……私?」
「うん。進路」
私は少し黙った。
「大学には行こうと思ってる。でも……その先が、まだ決まってなくて」
「そっか」
翔は、それ以上聞かなかった。
「焦らなくていいんじゃない?」
私は小さく頷いた。
でも、胸の奥では、ずっと考えていた。
――私のやりたいことって、何だろう。
大学に行く。
新体操は、高校で一区切り。
その先で、私は何をしたいんだろう。
その日の帰り道。
ふと、スマホを見る。
スマホカバーに挟んである、一枚の名刺。
あの日、インターハイで渡された名刺だった。
『モデルに興味はありませんか?』
あの言葉が、もう一度蘇る。
家に帰ると、両親にも話した。
「瑠夏がやってみたいなら、やってみたら?」
反対されているわけじゃない。
むしろ、背中を押してくれている。
だからこそ、迷った。
本当に、私がやりたいことなの?
それとも――
誰かに見つけてもらえたことが嬉しくて、気になっているだけなの?
名刺を指先でなぞりながら、私は考え続けた。
翔はもう、自分の進む道を見つけている。
私はまだ、その途中にいる。
同じ青春を走ってきたはずなのに。
少しずつ、私たちの未来は違う方向を向き始めていた。



