期末テスト、最終日。
最後のチャイムが鳴った瞬間、教室のあちこちから一斉に声が上がった。
「終わったー!」
「やっと部活行ける!」
「今日どうする?」
みんなが答案用紙を提出して、次々と教室を出ていく。
私も鞄を持って、教室を出た。
廊下に出たところで――
「瑠夏」
後ろから声がした。
振り返る。
翔が立っていた。
でも……なんだか様子がおかしい。
「翔、どうしたの?」
「……ヤバい」
「え?」
翔が、ものすごく深刻な顔をしている。
「俺、今回ヤバいかも……」
「そんなに?」
「うん」
「テスト、そんなに難しかった?」
「いや……」
翔が気まずそうに目を逸らした。
「テスト期間に入る前、部活ばっかりやってて……ほとんど勉強してなかった」
「ええっ!?」
思わず声が大きくなる。
「ちょっと待って。全然勉強してなかったの?」
「……うん」
「翔……」
「だって、部活終わると疲れてるし」
「それでもテスト前なんだから、少しくらいはやらないと」
「分かってる……」
しょんぼりする翔。
普段はあんなに自信満々なのに。
こういうところは、ちょっと可愛い。
でも――本人はかなり焦っているらしい。
「このままだと……留年するかも」
「……え?」
私は固まった。
「留年?」
「いや、まだ決まったわけじゃないよ?」
「びっくりした……」
思わず胸を押さえる。
「でも、今回かなり危ないと思う」
「もう……」
私は呆れながら翔を見る。
「ちゃんと勉強しなきゃダメじゃん」
「うん……」
「次のテストはどうするの?」
「頑張る」
「本当に?」
「うん」
翔が頷く。
その顔を見ていると、なんだか放っておけなくなった。
「じゃあ……」
私は少しだけ考えてから、言った。
「次の学年末テスト、一緒に勉強しよ」
「え?」
翔が顔を上げた。
「私が教える」
「……瑠夏が?」
「うん」
「いいの?」
「だって……」
私は笑った。
「翔が留年したら困るもん」
「……瑠夏、優しい」
翔の顔が、ぱっと明るくなる。
「俺、頑張る」
「本当に?」
「うん!」
「じゃあ、約束ね」
「約束」
翔が嬉しそうに笑う。
その笑顔を見ていると、私まで嬉しくなった。
恋人になってから、初めて迎える冬。
文化祭で一緒に歩いたり。
手を繋いだり。
初めてキスをしたり。
今度は、一緒に勉強する。
そんなふうに、恋人として過ごす時間が少しずつ増えていく。
「瑠夏」
「ん?」
「俺、ちゃんと頑張るから」
「うん」
「次は絶対、こんな顔しない」
そう言って、自分の顔を指差す翔。
「どんな顔?」
「今の俺」
「ふふっ」
思わず笑ってしまった。
「じゃあ、期待してるね」
「任せて」
翔が胸を張る。
私はそんな翔を見ながら、笑った。
――このときの翔の「頑張る」が、いったいどこまで続くのか。
そんなことは、まだ知らない。
ただ今は。
「一緒に勉強しよう」
そう約束できたことが、嬉しかった。
最後のチャイムが鳴った瞬間、教室のあちこちから一斉に声が上がった。
「終わったー!」
「やっと部活行ける!」
「今日どうする?」
みんなが答案用紙を提出して、次々と教室を出ていく。
私も鞄を持って、教室を出た。
廊下に出たところで――
「瑠夏」
後ろから声がした。
振り返る。
翔が立っていた。
でも……なんだか様子がおかしい。
「翔、どうしたの?」
「……ヤバい」
「え?」
翔が、ものすごく深刻な顔をしている。
「俺、今回ヤバいかも……」
「そんなに?」
「うん」
「テスト、そんなに難しかった?」
「いや……」
翔が気まずそうに目を逸らした。
「テスト期間に入る前、部活ばっかりやってて……ほとんど勉強してなかった」
「ええっ!?」
思わず声が大きくなる。
「ちょっと待って。全然勉強してなかったの?」
「……うん」
「翔……」
「だって、部活終わると疲れてるし」
「それでもテスト前なんだから、少しくらいはやらないと」
「分かってる……」
しょんぼりする翔。
普段はあんなに自信満々なのに。
こういうところは、ちょっと可愛い。
でも――本人はかなり焦っているらしい。
「このままだと……留年するかも」
「……え?」
私は固まった。
「留年?」
「いや、まだ決まったわけじゃないよ?」
「びっくりした……」
思わず胸を押さえる。
「でも、今回かなり危ないと思う」
「もう……」
私は呆れながら翔を見る。
「ちゃんと勉強しなきゃダメじゃん」
「うん……」
「次のテストはどうするの?」
「頑張る」
「本当に?」
「うん」
翔が頷く。
その顔を見ていると、なんだか放っておけなくなった。
「じゃあ……」
私は少しだけ考えてから、言った。
「次の学年末テスト、一緒に勉強しよ」
「え?」
翔が顔を上げた。
「私が教える」
「……瑠夏が?」
「うん」
「いいの?」
「だって……」
私は笑った。
「翔が留年したら困るもん」
「……瑠夏、優しい」
翔の顔が、ぱっと明るくなる。
「俺、頑張る」
「本当に?」
「うん!」
「じゃあ、約束ね」
「約束」
翔が嬉しそうに笑う。
その笑顔を見ていると、私まで嬉しくなった。
恋人になってから、初めて迎える冬。
文化祭で一緒に歩いたり。
手を繋いだり。
初めてキスをしたり。
今度は、一緒に勉強する。
そんなふうに、恋人として過ごす時間が少しずつ増えていく。
「瑠夏」
「ん?」
「俺、ちゃんと頑張るから」
「うん」
「次は絶対、こんな顔しない」
そう言って、自分の顔を指差す翔。
「どんな顔?」
「今の俺」
「ふふっ」
思わず笑ってしまった。
「じゃあ、期待してるね」
「任せて」
翔が胸を張る。
私はそんな翔を見ながら、笑った。
――このときの翔の「頑張る」が、いったいどこまで続くのか。
そんなことは、まだ知らない。
ただ今は。
「一緒に勉強しよう」
そう約束できたことが、嬉しかった。



