愛してるの期限が切れる前に

 ネットで電話番号を検索するが一件もヒットしないのは、これが個人的な番号であるからだろう。
 勧誘の電話だとわかっていれば、着信拒否にできるのに、個人の番号からだとすぐには拒めない。もしかしたら、知り合いの番号が変わっただけかもしれないからだ。
 最近、多いなと思うも、こちらからかけ直す勇気も起きない。

(だって、かけてみたらやっぱり怪しい電話だったとかだったら怖いじゃない)

 そう思い百花は、見知らぬ番号を気にかけながらも、すべて無視していた。

(あれ? 今日って、七月七日じゃない?)

 携帯に表示されている日付に、百花は「あっ」と小さく声を上げた。
 七夕でもあるこの日は、玲桜の誕生日でもあった。

「はーちゃん、今日ね、玲桜君のお誕生日なんだ。お祝いしようか?」
「する!」
「よし、じゃあ。お買い物に行こう!」

 たっぷり詰まった大容量の冷蔵庫だけれど、ケーキを作る材料でかかせないものが入っていない。生クリームとベーキングパウダーだ。
 窓からはすぐ近くにドラッグストアが見える。あそこで帰るはずだ。

(護衛もついているって話しだし、十分くらいの距離は大丈夫よね)

 そう思い、百花はさっそく花と出かける準備をした。
 一応、念のために花には帽子を被せて、ベビーカーに乗せる。こうすればかなり周囲の目から花を隠せるからだ。

「ままぁ、はーちゃ歩くよ?」
「そうだよね、歩いてくれるもんね。でもママね、帰りは荷物を載せたいんだけど、重たいとうまくベビーカー押せないかもなぁ。どうしよう、はーちゃん、ママが荷物を運ぶ練習につき合ってくれないかな?」
「ふぅ~ん、いいよぉ」

 そう言うと、花は大人しくベビーカーに収まってくれた。
 行き道で安全かを確認すれば、帰りは歩いても大丈夫だろう。