愛してるの期限が切れる前に

 玲桜にもあった子ども時代が想像できないのは、最初にあったときにはもう玲桜だったからだ。
「あ――っ」
 ひとり思いを馳せている目の前で、花は玲桜から渡された牛乳パックを盛大に零していた。
「ままぁ――、こぼちたぁぁ……っ」
「だ、大丈夫か? はーちゃんは悪くないよ?」
 大泣きする花をおろおろしながら慰める玲桜に、雑誌の誌面を飾った威厳はどこにもない。
 とりあえず、さっそく子どもの洗礼を受けたキッチンを掃除するところから始めよう。