愛してるの期限が切れる前に

「俺の方こそ、ごめん。足は見た目ほど痛みもないよ。今すぐ必要なものさえなければ、明日にでも改めて一緒に取りに行こう。家財道具はこっちできちんと保管しておくから安心して。絶対にももの許可無く処分しないよ」
 ほっとした顔に、百花もゆっくりと笑った。
「それで、さっきの話の続きなんだけど、寝室を私たちが使ったら玲桜はどこで寝るの?」
「ゲストルームを使う」
 玲桜は、リビングの奥にある扉を指さした。
「私たちがそこを使うべきじゃない?」
 立場的に言えば、百花たちがゲストだ。
「駄目、ももたちが主寝室を使うべきだよ。広いし鍵もかけられる。それとも、気が引けるなら一緒に使おうか? それなら罪悪感も湧かないだろ」
 だが、別の感情は湧いてくる。
 玲桜は四年前の出来事になにも感じていないのだろうか。
 顔を真っ赤にさせて睨めつければ、「冗談だよ」と蕩けるように微笑んだ。
「バスルームは一階と二階にそれぞれあるから、好きな方を。サンルームにはホットタブもあるよ」
「ホットタブ?」
 玲桜が指さす方向を見れば、硝子張りの壁越しに小さなプールがあった。
「温水だからいつでも使って」
 なんてことない様子で紹介される一つ一つに贅沢が詰まっている。
(けれど、玲桜はこういう暮らしをしてきた)
 思い返せば、昔、百花がお昼に冷凍うどんでお昼を作ったときも、珍しそうだった。
 凍ったうどんなのにコシがある、美味い。と驚いていたっけ。