顔を上げて食ってかかると、「聞いて」と止められた。
「相手の正体がわかっているなら対処もできる。問題なのは、敵の正体がわからないときだ」
「どういうこと? 敵って、なに?」
うろんな目を向けるも、玲桜はそれに臆することなく言った。
「例えば花を誘拐しようと目論む者」
にべもなく告げられた言葉に、百花は身体を強ばらせた。
「誘拐? 嘘でしょ?」
その言葉の意味を知らないわけではない。
ドラマや小説にもよく出てくる単語で、どういうものかも理解している。
けれど、それが今後、自分の身の回りで起こりえると言われても、すぐには状況を呑み込めないでいた。
「はーちゃんの存在が世間に知られた以上、今まで通りの生活はできないよ」
断言されても、百花にはわからないことばかりだった。
「そんな――、なんでたった一枚の投稿でそんなことになるの?」
「もも、落ち着いて」
「落ち着いてられるわけないっ。こんな――っ」
自分でもなにを言いたいのかわからなかった。
ただ込み上げる激情にせき立てられるように、現実を否定する。
「誘拐なんて、嘘よね? そんなのあなたの脅しでしょ? そう言えば、私からこの子を奪えると思って――っ」
そう詰め寄ると、玲桜はそっと目を閉じた。観念した様子で口を開く。
「俺が水島家にいたのは、世間から身を隠すためだったんだ。幼い頃から何度も誘拐されかけたよ。俺が目障りだと思う人間から命を狙われたこともある」
玲桜もまた誘拐を経験した一人だと知り、愕然となった。
「相手の正体がわかっているなら対処もできる。問題なのは、敵の正体がわからないときだ」
「どういうこと? 敵って、なに?」
うろんな目を向けるも、玲桜はそれに臆することなく言った。
「例えば花を誘拐しようと目論む者」
にべもなく告げられた言葉に、百花は身体を強ばらせた。
「誘拐? 嘘でしょ?」
その言葉の意味を知らないわけではない。
ドラマや小説にもよく出てくる単語で、どういうものかも理解している。
けれど、それが今後、自分の身の回りで起こりえると言われても、すぐには状況を呑み込めないでいた。
「はーちゃんの存在が世間に知られた以上、今まで通りの生活はできないよ」
断言されても、百花にはわからないことばかりだった。
「そんな――、なんでたった一枚の投稿でそんなことになるの?」
「もも、落ち着いて」
「落ち着いてられるわけないっ。こんな――っ」
自分でもなにを言いたいのかわからなかった。
ただ込み上げる激情にせき立てられるように、現実を否定する。
「誘拐なんて、嘘よね? そんなのあなたの脅しでしょ? そう言えば、私からこの子を奪えると思って――っ」
そう詰め寄ると、玲桜はそっと目を閉じた。観念した様子で口を開く。
「俺が水島家にいたのは、世間から身を隠すためだったんだ。幼い頃から何度も誘拐されかけたよ。俺が目障りだと思う人間から命を狙われたこともある」
玲桜もまた誘拐を経験した一人だと知り、愕然となった。
