愛してるの期限が切れる前に

(覚えてた――わけがないか)

 水色が好きになったのは、玲桜の瞳が綺麗すぎたからだ。
 本当はモルフォ蝶色と答えたかったが、そんなことを言えば「伶桜が好き」と言っているようなものだと思い、水色と答えを濁したのだ。
 準備が整ったサンルームでの玲桜の誕生日パーティーに、花は大喜びだった。
 玲桜もお祝いご飯に「懐かしい」「嬉しい」と何度も言いながら、楽しそうに花の世話をしながら食べていた。
 正座の話を花に聞かせるにはまだ早く、代わりに七夕のお話を簡単にした。一年に一度、織り姫と彦星が天の川を渡って会える日だと伝えると、花は「いちゅも会えないの? ちゃびちいね」と言っていた。

「その分、会える日を楽しみに毎日を頑張るんだよ。そうすれば、会えた時はすごく楽しいし嬉しくなる」

 玲桜は花を膝に乗せて言った。

「れーちゃも?」

 なにが「伶桜も?」なのかはわからなかったが、伶桜は目を細めて「そうだよ」と優しい声で答えていた。
 この日初めて、花は玲桜と一緒にお風呂に入るといい、玲桜は終始緊張した面持ちで花とお風呂に入った。
 そうして、花の就寝時間になり、百花がお風呂から上がってきたときには、玲桜はサンルームで水色の短冊を手に取り見つめていた。

「あ……」

 二人が主寝室に行っている間につけた百花の短冊だ。

「”勇気がほしい”」

 改めて読み上げられると、恥ずかしい。

「勇気を得て、どうするの?」
「――いろいろ、逃げてきたものに向き合おうと思って」
「たとえば?」

 玲桜が手招きをして、百花かソファに座らせた。その隣に、玲桜も腰かける。

「……わ、私ね。玲桜に言ってないことがあって」
「うん」
「四年前のこと。――若森さんには、私が万引き犯にされかけたところを助けてもらったの。お礼がしたいって言ったら、食事につき合ってくれるほしいって言われて」
「そのままホテルに行った?」