愛してるの期限が切れる前に

 そう言って、玲桜は観葉植物に短冊を括りつけた。

「そこは笹じゃないんだ」
「ごめん、完全に失念してた」

 自分の誕生日であることも忘れていたくらいだ。

「せっかくだし、ケーキはサンルームでご飯食べよっか」

 七夕は曇り空や雨の日が多い印象だったが、今日は朝から快晴だった。雲一つ無い夜空には星が瞬いている。

「天の川って肉眼で見えたっけ?」
「見えるよ。夏の大三角形を目印に探すんだ。でも、できるだけ暗い場所がいいらしいから、この部屋じゃ難しいかな」

 確かに、町の明かりが目映いこの場所では、夜空の星も霞んでいた。

「夏の大三角形か、覚えてないな」
「こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブ。ベガとアルタイルが、織り姫と彦星と言われているよ」
「玲桜って本当博識よね。勉強になる」
「もっと褒めてくれていいよ」

 調子に乗る玲桜にくすくす笑うと、花も一緒になってくすくす笑った。口に小さな手を当てて笑う姿の愛らしさに、玲桜が悶えていた。

「ももも、短冊書こうよ」
「玲桜は書いたの?」
「もちろん」

 そう言うと、ひらひらとオレンジ色の短冊を揺らして見せた。

「へぇ、どんな願い事を書いたの?」
「二人とこれからもずっと一緒にいられますように」

 玲桜の望みは、再会してから一環している。
 思えば、彼はそれしか望みを口にしていない気がした。

(ずっと一緒か)

 そうなれたらいい。
 けれど、夢を現実にするためには乗り越えなければならない壁がある。
 百花が目を背ける続けてきた厄介ごとだ。
 玲桜に水色の短冊とマジックを渡された百花は、少し驚いて彼を見た。水色は百花の好きな色でもあったからだ。
 昔、好きなものの話をしたとき、百花は「水色が好き」と言った。他にも冷凍うどんや、ゲームと答えた中の一つだが、玲桜はそれを覚えていてくれたのだろうか。