「先生が、自分は人殺しだって、言われたんです…。」
そう口にすると一気に現実味を帯びて、私の目からポロリと涙が流れた。
「だからもう誰も愛せないって…。」
美柑さんはわたしの頬を伝う涙を優しく拭うと
「…ちょっと散歩しよっか。」
そう言って私を外へ連れ出した。
宿の目の前の海には私と美柑さんしかいなくて、
2人の間にしばらく波の音だけが流れた。
美柑さんは大きな流木を見つけると、ちょこんとその上に腰をかけた。
私も同じように腰をかけると、美柑さんはゆっくり口を開いた。
「あのね、司は人殺しなんかじゃないよ。」
その言葉に私は困惑した。

