「希幸。そろそろ行こうか。」
しぃちゃんはベンチから立ち上がると希幸ちゃんの手を繋ぎ、海の匂いがする大きなバッグを肩にかけた。
「お母ちゃん、じぃちゃんとばぁちゃんちに行くの?」
「うん。その前にちょっと寄りたい所あるんだ。いい?」
希幸ちゃんはこくんと頷いた。
「しぃちゃん!」
「ん?なぁに?」
「しぃちゃん、ずっとこの街で暮らすんだよね?もうどこにも行かないよね?」
そう尋ねると、しぃちゃんはニカっと笑った。
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