君が感情をくれたから

 凪くんって笑ったらあんな顔するんだ・・・。
 初めて見た凪くんの笑顔は、見とれてしまうほど綺麗だった。
 きっと、あの顔で笑いかけられたら人類全員凪くんの虜になってしまうだろう。
 それくらいの破壊力が彼の笑顔にはあったのだ。
 もっと、笑えばいいのにな・・・。
 私が凪くんの笑顔を見たのはさっきの笑顔一度きり。
 彼はほとんどの時間を真顔で過ごしている。
 何か笑わない、笑えない理由でもあるのだろうか。
 それに、彼はとてつもなく自己肯定感が低いのだ・・・。
 『僕なんかと帰っても楽しくないと思う、よ?』
 あの自信のなさは一体どこから来るのだろうか・・・。
 凪くんはとても素敵な人だと私は思う。
 何を考えているのかよく分からないけど、彼は優しい人なのだ。
 何かお願いをしたら大抵は断らないし・・・。
 まだ出会って間もないけど、私は凪くんのことをもっと知りたいと思っていた。
 だから、下校は彼のことを知る絶好のチャンスだ・・・。
 私は学校が終わるのが珍しく待ち遠しかった。