君が感情をくれたから

 「凪くん、おはよ!」
 教室に入ると、彩葉さんが僕のことを出迎えてくれた。
 「おはよう、彩葉さん」
 「うん!」
 挨拶を返すと、彩葉さんは僕に満面の笑みを返してくれた。
 「凪くん、今日は誰かと帰る予定ある?」
 僕が自分の席に行こうとすると、席が隣の彩葉さんが後ろからついてきてそんなことを聞いてきた。
 「・・・いや、ないけど」
 万年ボッチの僕は誰かと帰ったのは小学校の集団下校があったときだけだ。
 それに、下校中に楽しくおしゃべりをするような子居なかったから実質、1人で帰っていた。
 「ならさ、今日一緒に帰ろうよ!」
 「・・・えっ」
 突然そう言われて固まっていると、彩葉さんが「ダメ?」と可愛い顔で僕の方を見てきた。
 「いや、大丈夫だけど・・・僕なんかと帰っても楽しくないと思う、よ?」
 「凪くんと帰ったら絶対に楽しいから大丈夫!」
 彩葉さんはドヤ顔で言った。
 その自信はどこから来るんだろう・・・。
 絶対に楽しくないのにな・・・。
 「ねぇ凪くん、凪くんは凪くんが思ってるよりも面白い人だよ」
 「・・・」
 お世辞だと思った。
 だけど、なんだろう・・・。
 心の中から温かいものが溢れてくるような気がした・・・。
 「・・・ありがとう」
 そう言うと、彩葉さんは口をぽかんと開けて僕のことを見ている。
 「どうしたの?」
 僕が何か変なことを言ってしまったのだろうか・・・。
 声を掛けたけど、彩葉さんは口を開けたままだった。