世界で一番わがままな君とガラスの心臓

スタートと同時に、地面を力強く蹴り出す。


頭を低く保ち、前へ、前へ。


(肩の力を抜く。風になるんだ——!)


今までの私を縛っていた迷いや焦りが、走るほどに後ろへと置き去りにされていく。

視界が加速する。耳元を通り抜ける風の音が、激しい歓喜の歌みたいに響く。

ドライブフェーズから中間失速を起こすことなく、身体がスムーズにトップスピードへと乗った。


地面を踏みしめるたび、足の裏から全身へエネルギーが駆け巡る。


生きている。


私は今、この瞬間に、間違いなく全力で生きている!

視界の先に、ゴールの白線が見えた。


最後まで膝を引き上げ、胸を突き出して、光の粒の中を駆け抜ける——!!


「——っつぁ!!」