世界で一番わがままな君とガラスの心臓

私は強く返事をし、スタートラインへと向かった。


スターティングブロックに足をかける。


屈み込み、赤土に指先を立てた。


耳をすますと、遠くからかすかに潮騒の音が聞こえるような気がした。旧市街の古い路地裏で、静かに息を潜めている親友の姿が浮かぶ。


(見ててよ、明日。私は、絶対に手抜きなんてしない)


「位置について——」


呼吸を深く整える。

雑念がすーっと消えていき、視界がクリアになっていく。


トラックの一直線の直線コースだけが、まっすぐに自分の瞳に飛び込んできた。

「セット——」


腰を上げる。全身の筋肉が、バネのように緊張する。


——パンッ!!


電子砲砲音がグラウンドの青空に弾けた。