世界で一番わがままな君とガラスの心臓

翌日の放課後。


カンカンとグラウンドを照りつける西陽の下で、私はスパイクの紐をぎゅっと力強く結び直していた。


トラックの赤土からは、むっとするような熱気が立ち上っている。


部員たちの声や、顧問の先生が吹く笛の音が遠くで響く中、私は静かに立ち上がり、自分の足元を見つめた。


日焼けした肌、しっかりした筋肉、深く息を吸い込めば幾らでも空気を巡らせてくれる丈夫な心臓。


(……私、ずっと逃げてたんだ)


胸の奥で、ぽつりと呟く。


「明日は走れないから」