世界で一番わがままな君とガラスの心臓

「でも、明日ちゃんは違う。……いつ心臓が止まるか分からない過酷な運命の中で、脅かされながら、それでも『今』という瞬間から一歩も逃げずに戦ってる。泣いて、怒って、毒を吐いて……命を燃やし尽くそうとしてるんだ」


「湊先輩……」


「そんな明日ちゃんの前で、未来から逃げてる俺が『将来がどうこう』なんて語ってたんだからさ。……そりゃ怒るよね。軽蔑されて当然だよ」


ぽつりぽつりと紡がれる言葉。


そこには、東京の重苦しいプレッシャーに潰されかけていた一人の男の子の、泥臭い本音があった。


湊先輩は印画紙を静かに引き上げると、水洗用の水槽へと移した。