世界で一番わがままな君とガラスの心臓

「うん。写真が好きだって言っても『くだらない趣味だ』って切って捨てられて。毎日塾と模試詰めで、息が詰まりそうだった。今年の夏休み、受験勉強に耐えきれなくなって……『じいちゃんの手伝いをする』って言い訳を作って、この町に逃げてきたんだ」


湊先輩は苦笑いを浮かべたけれど、その表情には強い悔恨が滲んでいた。


「俺は……未来があるのに、その未来から逃げてたんだよ。決まったレールを進むのが怖くて、親の期待から逃げたくて、この静かな町で『自分探しのフリ』をしてただけなんだ」



液体の中で揺れる明日の写真を、湊先輩は愛おしそうに、そして痛ましそうに見つめた。