世界で一番わがままな君とガラスの心臓

湊先輩はピンセットを置き、赤い光の中で静かに自分の両手を見つめた。


「俺さ……最低だよね」

「え……?」


「『将来』とか『未来』なんて言葉、明日ちゃんの前で平気で口にしてさ。……俺、自分がどれだけ恵まれてて、どれだけ甘えてたか、今日初めて思い知らされたんだ」


湊先輩の声が、暗室の狭い空間で低く響く。


「俺の実家、東京で代々続いてる病院なんだ。父親も母親も医者でさ。幼い頃から『お前も当然、医者になるんだろ』って決めつけられて育ってきた」


「お医者さん……」