世界で一番わがままな君とガラスの心臓

だけど、その瞳には小さな涙の粒が溜まっていて、夕焼けの光を受けてキラキラと揺れていた。


「……ヘタクソ。ピント、ズレてんじゃないの……」


しぼり出すような毒舌。けれど、そこにはもう怒りの色はひとかけらも残っていなかった。


湊先輩はそんな明日を愛おしそうに見つめ、首のカメラを優しく撫でた。


夕暮れが終わり、海咲町の路地裏に、深い紫色の夜が降りてくる。


国道沿いの眩しい灯りとは違う、静かで、温かくて、けれどどこか切ない夏の夜。


私は、二人の間に漂う特別な空気感を見つめながら、自分の胸の奥がキュッと小さく痛むのを感じていた。


(明日が……恋をしたんだ)