世界で一番わがままな君とガラスの心臓

明日は顔を隠したまま、警戒するように上目遣いで湊先輩を睨みつけた。


けれど、湊先輩はもう何も答えない。


すっと立ち上がり、縁側の木枠から一歩引き、カメラのファインダーに片目を宛がう。


その瞬間の湊先輩の顔から、さっきまでの柔らかい笑みが消えていた。


ファインダー越しに世界と向き合う、本物の写真家の厳しい瞳。


海に、夕陽がゆっくりと沈み込もうとしていた。


茅野家の高台からは、旧市街の錆びた瓦屋根の並びと、その向こうに広がる西伊豆の海が一望できる。