世界で一番わがままな君とガラスの心臓

「だから……手紙なんていらないわね。直接言ってあげる」


明日はふっと、世界で一番美しく、誇らしい微笑みを浮かべた。


「風花。私のかわりに走ってくれて……私を、生かしてくれてありがとう」


「あ……明日……っ」


溢れ出る涙を止めることができなかった。


私は自分の首から金メダルを外し、それを明日の首へと優しくかけてあげた。


「これは、二人で取った金メダルだよ。明日がいてくれたから、私は走れたんだから」


明日は首にかかった金を愛おしそうに撫で、それから「……そういうの重いから」と照れ隠しに小さく呟いた。


海に夕陽が沈み、海咲町の路地裏に、優しい夜の帳が降りてくる。