世界で一番わがままな君とガラスの心臓

明日は膝の上で自分の指先を見つめた。


「『さよなら』の手紙。あの夜、直接言葉も交わせないまま離れ離れになってさ。下田の病室で一人になった時、自分の死期を悟った気になって、格好つけて遺書を残そうとしてたのよ。私がいなくなっても走れ、とか、未来を生きろ、とか……そんなお仕着せがましい言葉を並べようとしてた」


「明日……」


「でも、やめたの」


明日は顔を上げ、私をまっすぐに見つめ返した。その瞳には、夕陽の茜色と、澄み渡った未来の光が映り込んでいた。


「死ぬのが、怖かったの」


ぽつりと言い放たれた、偽りのない本音。