世界で一番わがままな君とガラスの心臓

「なによその間抜けな顔は。金メダル取ったからって調子に乗って油売ってたわけ? それで私を待たせるとか、万死に値するわよ」


相変わらずの容赦ない毒舌。


けれど、その大きな瞳には、紛れもない命の火花が宿っていた。


「な、なんで……!? 下田の病院は!? 面会もダメだったのに……!」


「今日、退院したのよ。下田のお医者様が『驚異的な回復力だ』って呆れて許可を出したわ。……それに」


明日は日傘を少しすぼめると、そっぽを向いてフンと鼻を鳴らした。


「あんたのノロマな走り、見届けてあげたんだから」


「え……?」