世界で一番わがままな君とガラスの心臓

その門の前に——小さな人影がひとつ、ぽつんと立っていた。


「……え?」


私の足が、ぴたりと止まった。


首元まで隠すような大きなつばの麦わら帽子。手に握られた黒い日傘。


夕暮れ時の影をすっぽりと纏ったその華奢な姿は、見間違うはずもなかった。


「遅いわよ、ノロマ」


日傘の陰から、鈴を転がすような、けれど呆れたような声が響いた。


帽子が少しだけ上へと傾けられ、前髪を眉の上できれいに揃えた黒い艶やかな髪と、透き通るような白磁の肌が夕闇の中に浮かび上がる。


「……あ……あ、明日……!?」