世界で一番わがままな君とガラスの心臓

このジャンクな匂いと賑やかな冷気の中で、眉をひそめて「不快だわ」と毒を吐くはずだった親友の姿。


あのアタックの夜以来、一度も顔を見られず、声を聞くこともできなかった彼女。


一番にこの金メダルを見せたかった相手は、ここにはいない。


「風花、どうしたの? ぼーっとして」


「ううん、なんでもない! ちょっとお腹空きすぎててさ!」


私は笑って誤魔化すと、ポテトを大きめにつまんで口へ放り込んだ。


祝勝会を終え、すっかり陽が落ちかけた旧市街の路地裏を歩いていた。


ポニーテールの先端を夕風になびかせ、スニーカーの踵を鳴らす。なまこ壁の角を折れると、我が家である橘家の古い木門が見えてきた。