世界で一番わがままな君とガラスの心臓

けれど、このタイムは私一人で出せたものじゃない。


下田の病院で戦い続けている明日の存在があったから。


あの夜の光と、三人で駆け抜けたあの最高の夏があったからこそ、私はここまで走ってくることができたのだ。


溢れ出る涙を拭い、私は見上げた。


どこまでも高く、澄み渡った九月の青空。


あの日、暗闇の突堤で打ち上げた花火の光は、いま、私の中で世界で一番眩しい「風」となって、下田の空へ、そして未来へと吹き抜けていた。