世界で一番わがままな君とガラスの心臓

あの日、二人で見た光の残像と、明日から受け取った情熱のバトンを抱えて駆け抜ける、私自身の命の走りだ。
「セット——」
腰を持ち上げる。
全身の筋肉がピンと引き絞られ、極限まで緊張が高まる。
スタジアムの風の音も、観客の視線も、すべてが遠のき、世界から音が消え去った。
ただ、自分の胸の中で「トックン、トックン」と高鳴る、力強い心臓の鼓動だけが響いていた。
——パンッ!!
一瞬の爆音とともに、世界が弾けた。
号砲と同時に、私の身体は弾丸のように前へと飛び出していた。
地面を叩きつける両足の猛烈な蹴り出し。
一歩、二歩、三歩。