世界で一番わがままな君とガラスの心臓

走れば走るほど、自分の中に明日から受け取った情熱が滾っていくのが分かった。


「橘!」


先生が私の肩を強く叩いた。


「この走りなら……明後日の県大会、ただの入賞じゃない。頂点(優勝)を狙えるぞ!」


「……はい!」


私は汗の浮かんだ額を袖で拭い、力強く頷いた。


夕暮れが迫り、グラウンドの照明塔にポツリポツリとオレンジ色の光が灯り始める。


明後日は、いよいよ県大会の決勝戦だ。

下田の病院で、今も暗闇の中で戦っている親友の姿を想う。


『ノロマな風花に手加減されたら、私の命が安っぽくなるわ』


あの日、かき氷を食べながら毒づいた彼女の声。


「安っぽくなんてさせないよ、明日」