世界で一番わがままな君とガラスの心臓

肺いっぱいに空気を吸い込み、鼓動を脈打たせ、大地を強く蹴り出す。


この絶対的な命の歓喜を走りに変えて、下田の病室にいる明日に届かせるのだ。


「位置について——」


スタートの合図がかかる。

両手を土につき、腰をゆっくりと持ち上げる。

全身の筋繊維が引き絞られた弓のようにピンと張り詰め、全身の血液が凄まじいスピードで体内を巡っていく。


(届けるよ……明日。私の命の走りを——!)

——パンッ!!


ピストルの号砲が、秋の澄んだ空に響き渡った。

スタートの瞬間、私の身体は弾丸のように前へと飛び出していた。


地面を叩きつける足裏の衝撃。

一歩、二歩、三歩。