世界で一番わがままな君とガラスの心臓

濡れた毛先から雫がポタリと落ち、病院の白いリノリウムの床に小さな水たまりを作っていた。


頭の中では、まだあの花火の爆音と、夜空を埋め尽くした金色の光の雨が鳴り響いている。


そして——その光の中で、世界で一番眩しく笑っていた明日の姿。


『私、今、最高に生きているわよ!!』


あの歓喜の叫びから、ほんの数分後に訪れた悲劇。


自分の腕の中で急激に体温を失っていった明日の細い手首。あの冷たさが、今も私の掌にこびりついて離れない。


「……明日……!」


廊下の向こうから、荒い足音が近づいてきた。