世界で一番わがままな君とガラスの心臓

「……風花ちゃん、これ」


湊先輩がか細い声で差し出してきたのは、自販機で買った温かい緑茶の缶だった。


彼の髪からは未だに雨粒が滴り、あの日突堤で血と泥に汚れた服を着たまま、壁に背をあずけて立っている。


「……ありがとうございます」


受け取った缶の温もりが、冷え切った掌に痛いほど染み渡る。


けれど、喉の奥がぎゅっと縮こまっていて、一口も飲むことができなかった。


ベンチに深く腰を下ろし、自分の膝を見つめる。