世界で一番わがままな君とガラスの心臓

それが、彼女が残した最後の拒絶だったのか、それとも感謝だったのかは分からない。


「意識確認! 病院へ緊急搬送します!」


飛び交う隊員たちの切迫した声。


救急車の赤い光がぐるぐると回転し、視界のすべてを真っ赤に染め上げていく。


潮騒の音も、サイレンの音も、湊先輩の叫び声も、すべてが遠くの出来事のように遠のいていく。


私の手から、明日の体温が完全に消え去った。


視界が歪み、世界から色彩が失われていく。


真夏の夜の暴風の中、私の世界は、音もなく深い暗闇へと沈み込んでいった。


私は間違っていた。


明日の病状については知っていたのに、心のどこかで「明日が死ぬわけない」と、思っていた。


だけど、こうして目の前で意識が混濁した親友の姿を見て、自分の考えが愚にもつかない願望だと悟った。