世界で一番わがままな君とガラスの心臓

救急車の赤色灯が、突堤のコンクリートを、打ち上がり終えた塩ビパイプの焦げ跡を、そして血に染まった明日の姿を、禍々しく照らし出していった。


「こっちです! こっちです!!」


湊先輩が突堤の端へ走り、懐中電灯を振って救急隊員を誘導する。


足音が近づいてくる。大人たちの怒鳴り声や、機材の金属音が重なり合う。


「明日……っ!」


私は明日の冷たい手を、最後まで離さなかった。


突堤のコンクリートの上に横たわる明日の顔に、救急隊員の白いストレッチャーの影が覆いかぶさる。


その瞬間、明日の細い指先が、ほんのわずかだけ、私の手のひらをぴくりと撫でた気がした。


「あ……」