世界で一番わがままな君とガラスの心臓

世界で一番美しい笑顔を見せた直後に、なんでこんな酷い運命が彼女を奪っていってしまうのか。


「風花ちゃん……! 救急車が来るまで、心臓マッサージを……!」


湊先輩が涙で顔をくしゃくしゃにしながら、明日の胸元に手を当てた。


規則正しく、必死に圧迫を繰り返す。


けれど、その力強い押し返しは、明日の華奢な胸からは返ってこなかった。


どれくらいの時間が経っただろう。


数分が、数時間にも、一生の長さにも感じられた。


やがて、遠くの国道沿いから、悲鳴のようなサイレンの音が近づいてきた。


闇に包まれていた海岸線に、不気味な赤い光が回転しながら差し込んでくる。