世界で一番わがままな君とガラスの心臓

「嫌……嫌よ、明日! 『今』を燃やし尽くすって言ったじゃない! 満足したからって、勝手に終わらせないでよ!!」


涙が視界を遮り、彼女の顔が見えなくなる。


私は手の甲で何度も目を擦り、彼女の冷たい頬に自分の温かい頬を擦り寄せた。


「私、自己ベスト出せたんだよ!? 十三秒八五出せたんだよ! 明日が本気で怒ってくれたから……だから私、走れたんだよ!!」



届かない。

どれだけ言葉を重ねても、どれだけ強い力で手を握りしめても、明日の体温は指先からすり抜けるように失われていく。


不公平だ。

あまりにも理不尽だ。

こんなにも人を好きになって。

こんなにも生きている歓喜を知って。