世界で一番わがままな君とガラスの心臓

壊れそうなガラスの心臓を抱え、明日(みらい)の来ない恐怖と戦い続けてきた彼女が、今、この突堤で、自分たちの手で掴み取った『今』を完璧に咲かせていた。


湊先輩のシャッター音は、花火の爆音に打ち消されることなく、私の耳に、胸に、はっきりと刻み込まれていく。


(綺麗……)


私は息をすることすら忘れて、その光景に見入っていた。


打ち上がる花火の光に照らされた明日の笑顔。


そして、その姿を狂おしいほどの情熱と愛おしさでファインダーの中に収め続ける湊先輩の眼差し。


レンズを通した二人の視線が交差する場所に、誰も入ることのできない、息を呑むほど美しい世界が完成していた。