世界で一番わがままな君とガラスの心臓

「明日ちゃん、こっち!!」


爆音の隙間を縫って、湊先輩の叫び声が響いた。


彼の手には、防水カバーがかけられた一眼レフカメラが固く握られている。


湊先輩は突堤のコンクリートに片膝をつき、ローアングルから明日へとカメラを向けた。


暴風に身を晒しながら、彼の瞳はファインダー越しに世界の一点だけを捉えている。


「笑って、明日ちゃん! 君の最高の『今』を見せてくれ!!」


その声に弾かれたように、明日はハッと湊先輩の方へ振り向いた。


幾千の花火が夜空で同時に弾け、彼女の華奢な全身を鮮烈な光のシャワーが包み込む。


白いワンピースの裾を羽ばたかせ、乱れた黒髪をかき上げる明日。