世界で一番わがままな君とガラスの心臓

見張りをしていた私も突堤の先端へと駆け寄り、ふたりの隣に並んだ。


波音がドォンと突堤を揺らし、潮風が容赦なく吹きつけてくる。


闇に包まれた海咲町の町並みは、まるで深く眠り込んでいるかのように静まり返っていた。


大人たちは誰も、この廃突堤で何が起きようとしているのかを知らない。


「風花、湊先輩」


明日がそっとふたりの顔を見上げた。


風になびく黒髪の間から覗くその大きな瞳には、夜空の星よりも眩しい、命の火花が宿っていた。


「準備はいい? 私たちの夏を……今から始めるわよ」

「ああ。いつでもいいよ」


湊先輩がバッテリーの点火スイッチに指をかけた。

私は明日の冷たい手をギュッと握りしめた。