世界で一番わがままな君とガラスの心臓

髪が暴風に煽られ、バサバサと顔に巻きつく。


潮の匂いと、生暖かい風が全身を打つ。


「大丈夫、風向きは陸から海へ吹いてる。花火の火花が町へ飛ぶ心配はないよ」


湊先輩は手押し車から発射台の木枠を抱え上げると、突堤の先端近くにある平らなコンクリート面へと運んだ。


懐中電灯の赤いフィルター越しに照らされた彼の顔は、緊張で引き締まりつつも、瞳にはどこか鋭い集中力が宿っていた。


「風花ちゃん、見張りを頼む。もし国道や海岸沿いに車のライトが見えたらすぐに教えてくれ」


「わかりました!」


私は突堤の中央あたりに立ち、街の方角と海岸線を代わる代わる見張り始めた。