八月三十一日、夜二十二時三十分。
海咲町の街灯という街灯が消え去ったかのように、旧市街は深い闇に沈み込んでいた。
台風12号の接近に伴い、沿岸部には強風注意報が発令されている。
時折、突風が路地裏を駆け抜け、民家のトタン屋根や木造の引き戸をガタガタとけたたましく揺らしていた。
誰もが戸締まりを厳重にし、家の中で息を潜めている時間帯だった。
だからこそ——私たちにとって、これ以上の好機はなかった。
「風花、右側……! 懐中電灯の光を漏らさないで」
声を潜めた明日の指図に、私は慌てて手元のライトの照射口を手のひらで覆った。
海咲町の街灯という街灯が消え去ったかのように、旧市街は深い闇に沈み込んでいた。
台風12号の接近に伴い、沿岸部には強風注意報が発令されている。
時折、突風が路地裏を駆け抜け、民家のトタン屋根や木造の引き戸をガタガタとけたたましく揺らしていた。
誰もが戸締まりを厳重にし、家の中で息を潜めている時間帯だった。
だからこそ——私たちにとって、これ以上の好機はなかった。
「風花、右側……! 懐中電灯の光を漏らさないで」
声を潜めた明日の指図に、私は慌てて手元のライトの照射口を手のひらで覆った。

