世界で一番わがままな君とガラスの心臓

「暗闇の中で、一瞬だけ世界を塗り替える光。……私、ずっと見たかったの。誰のためでもない、私たちが自分たちの手で掴み取った花火を」


風が強く吹き抜け、彼女の白いワンピースの裾を激しく羽ばたかせた。


今にも夜の海へ連れ去られてしまいそうなほど儚い背中。


私はたまらず、その細い手首をギュッと掴んだ。


「風花……?」


「逃げないよ、私も。警察が来ようが、台風が来ようが、絶対に最後まで明日の隣にいるから!」


明日は驚いたように目を見開き、それから呆れたように溜め息をついた。


「バカね。あんたは囮なんだから、警察が来たら走って逃げなさいって言ったでしょ」