世界で一番わがままな君とガラスの心臓

「東京にいた頃、理科の実験や電子工作が好きだったんだ。……まさかこんな形で役立つとは思わなかったけどね」


理系の知識を活かして真剣に図面を引く湊先輩。


長年培った街の知識で逃走経路と死角を弾き出す明日。


畳の上に置かれた一枚の地図を囲み、小さな電球の光の下で頭を突き合わせる二人。


昼間までただ諦めと絶望の中にいたはずの私たちが、今、自分たちの手で「自分たちの夏」を作り出そうとしている。


規則や大人たちの言いなりになるのをやめて、踏み出してはいけない一線を足並み揃えて飛び越えようとしているのだ。


背徳感と、胸を突き突き突き動かす強烈な胸騒ぎ。


「風花」


明日が私をまっすぐに見つめた。