日付が変わる直前。親が眠りについたのを見計らい、私は自室の窓から静かに外へ抜け出した。
昼間の熱気がまだ残る路地裏を忍び足で進み、茅野家の裏手に回る。
木枠の引き戸をすっとすき間だけ開けると、暗闇の中から細い手が伸びてきて、私の手首をキュッと引っぱった。
「遅い。蚊に刺されるかと思ったわ」
「ごめんごめん、お母さんがなかなか寝なくて……」
声を潜めて茅野家の離れへ上がり込む。
八畳間の和室は、中央に置かれた小さなスタンドライトの灯りだけがぼんやりと畳を照らしていた。
障子窓は固く締め切られ、外に漏れないよう分厚いカーテンが掛けられている。
部屋の隅には、となりの写真館から裏庭を伝ってやってきた湊先輩が、既に腕組みをして座っていた。
「風花ちゃん、お疲れ。誰にも見られなかった?」
「大丈夫です。……なんか、悪いことしてるみたいで心臓がバクバク言ってます」
「『みたい』じゃないわよ。完全に非合法活動なんだから」
昼間の熱気がまだ残る路地裏を忍び足で進み、茅野家の裏手に回る。
木枠の引き戸をすっとすき間だけ開けると、暗闇の中から細い手が伸びてきて、私の手首をキュッと引っぱった。
「遅い。蚊に刺されるかと思ったわ」
「ごめんごめん、お母さんがなかなか寝なくて……」
声を潜めて茅野家の離れへ上がり込む。
八畳間の和室は、中央に置かれた小さなスタンドライトの灯りだけがぼんやりと畳を照らしていた。
障子窓は固く締め切られ、外に漏れないよう分厚いカーテンが掛けられている。
部屋の隅には、となりの写真館から裏庭を伝ってやってきた湊先輩が、既に腕組みをして座っていた。
「風花ちゃん、お疲れ。誰にも見られなかった?」
「大丈夫です。……なんか、悪いことしてるみたいで心臓がバクバク言ってます」
「『みたい』じゃないわよ。完全に非合法活動なんだから」

