世界で一番わがままな君とガラスの心臓

その眼差しの奥で、黒い炎のような、激しい情熱と怒りが静かに燃え上がり始めているのを、私は見逃さなかった。


明日にとって、今年の夏は、ただの夏ではない。


「いつ死ぬか分からない」という恐怖と戦いながら、自分の命のすべてをぶつけようとしていた、かけがえのない『最後の夏』なのだ。


それを、大人たちの都合や「仕方がない」の一言で、勝手に奪われてたまるか——。


掲示板の前に立つ明日の華奢な背中から、言葉にならないほどの凄まじい執念が伝わってきた。


潮風が強く吹き抜け、中止の紙片を大きく揺らす。


私たちの止まっていた夏が、不穏で熱い嵐を孕みながら、大きく歪み始めていた。