世界で一番わがままな君とガラスの心臓

「そうねぇ。寂しくなるけど、決まっちゃったものはどうしようもないわ。これで、この町の夏もいよいよ終わりねぇ」


大人たちは「仕方がない」「どうしようもない」と口々に呟き、肩を落としながらそれぞれの店へと散っていった。


潮風に吹かれて、掲示板に貼られた「中止」の紙片が、パタパタと虚しい音を立てて揺れる。


錆びついたシャッター通りに漂う、諦めと寂しさに満ちた空気。


誰もが、町の衰退を受け入れ、夏の終わりを静かに受け入れようとしていた。


……ただ一人を除いて。


「……明日?」


ふと隣を見ると、明日は差していた日傘を固く握りしめたまま、立ち尽くしていた。