世界で一番わがままな君とガラスの心臓

夏の終わりが近づくにつれて、旧市街を吹き抜ける潮風には、どことなく湿り気と秋の気配が混ざり始める。


部活の練習を終えた私は、いつものように路地裏のシャッター商店街を歩いていた。隣には、首から一眼レフカメラを提げた一之瀬湊先輩。


そして、私たちの少し後ろを、不機嫌そうな顔で日傘を差した茅野明日がゆっくりと歩いている。


「ちょっと風花、歩くのが早いわよ。私を置いて熱中症で倒れさせたら、過失致死で訴えるから」


「ごめんごめん、明日のペースに合わせるよ」