世界で一番わがままな君とガラスの心臓

夕闇の海辺。静かな波音と、遠くで鳴る踏切の音だけが響いていた。


私と明日の二人だけの世界に、湊先輩という大きな光が入り込んできたことへの、ほんの少しの切なさ。


「……二人とも、お似合いだよ」


私は声に出さず、夜風の中にその言葉を溶かした。


切なさも、寂しさも、全部抱えて走っていこう。


明日の「今」を、そして私たちのこの奇跡みたいな最後の夏を、私が一番近くで守り抜くんだと心に誓いながら。


街灯の光が、防波堤に並ぶ三人の長い影を、夜の海へと静かに引き伸ばしていた。


【第4章】奪われた夏と秘密の作戦

第1節:回覧板の紙片と、途切れた伝統