世界で一番わがままな君とガラスの心臓

「冷たいね、手。……でも、すごく温かい命の音が聞こえるよ」


「は、放しなさいよ……! なに勝手に触ってんのよ……! セクハラよ!痴漢よ!変態、このバカ……!」


いつもなら即座に鋭い毒舌を浴びせるはずの明日。


けれど、重ねられた手の温もりと、湊先輩の真剣すぎる瞳に射抜かれ、言葉が途中で途切れてしまう。


顔が、耳の先まで、首元まで、真っ赤に茹で上がっていく。


「嫌なら……振り払ってよ」


湊先輩が優しく囁く。

けれど、明日の指先はぴくぴくとするだけで、湊先輩の手を振り払おうとはしなかった。


ただただ、真っ赤になった顔を隠すように俯き、重ねられた手を握りしめ返している。