世界で一番わがままな君とガラスの心臓

……やがて、夕闇が濃くなり、明日は立ち上がって防波堤の先へとゆっくり歩みを進めた。


湊先輩も静かにその後を追う。


私は意を決して、二人の背中へと駆け寄った。


「……明日!」


私が駆け寄ると同時に、防波堤の影から湊先輩も振り返った。


明日は足音に気づき、ハッと振り返る。

その瞳には一瞬だけ狼狽の色が浮かんだが、すぐにいつもの冷ややかな刺すような光へと戻る。


「……なによ、風花まで。しめしあわせて私のこと笑いに来たの? 『可哀想な病人様が、また黄昏れてる』って」


強がる声。けれど、その声は海の静けさに溶けてしまいそうなほど小さく震えていた。


「違うよ、明日」